山奥の秘湯と絶景を求めて、八ヶ岳のほぼ中央に位置する硫黄岳に行ってきました。

初日の朝、登山口へ向かう国道も徐々に雨から雪に変わり、あっという間に冬景色に。前日まで春めいていたのが、噓のようでした。

コメツガやシラビソの枝に降り積もった雪、雪原と化したミドリ池、マイペースなカモシカとの出逢い。ささやかな楽しみを見つけながら単調な森を歩き、日本最高所にある野天風呂でも有名な本沢温泉へ向かいました。

テント設営後は、待望の秘湯に入ります。冷え切った身体に濃厚な泉質が染みわたり、心身共にリフレッシュ。さらに温かいお鍋でお腹も満たされ、気が付けば満点の星空。明朝の天候に期待し、シュラフに潜り込みました。

それから数時間後、星が降る静寂の夜眠りにつきました。

前日に降り積もった木々を染める朝陽の優しさ、荒々しい火口壁と雪煙の迫力。強風が落ち着くことを願って、ゆっくり登り始めます。

微風で穏やかな夏沢峠から火口壁上空を見上げると、恐ろしくも美しい雪煙が舞っていました。ここから山頂までは、常時、西風の洗礼が続きます。頬や耳、ピッケルを持つ指先の冷たさに心が折れそうな時もありましたが、浅間山や北アルプス方面の絶景に励まされながら、一歩一歩進みました。

見上げていた火口壁を横目に見ながら。

最後のケルンを見送ったら、山頂はもうすぐ。

八ヶ岳中央に位置する広い山頂からは、前日には想像できなかった絶景が広がっていました。不安定な天候の合間の登頂。貴重な青空から、最高のパワーをもらいました。