芽吹きの季節がやってくると恋しくなる上州の山々。今回は短時間ながらも変化に富んだコースが周遊できる黒滝山の春を堪能してきました。

岩壁と急峻な山間に鎮座する黒滝不動寺は、九十九折の車道を登り切った先にあります。登山道は、この黒滝不動寺の前からスタートします。

雪山シーズンが一段落し、柔らかな日差しの中を靴底の柔らかい靴で岩や土の上を歩いていると、春の訪れを実感します。歩き始めて間もなく岩稜帯の分岐に到着。ヘルメットの下には、キャップ〈ventilation cap ST〉を被り、リュックサック〈SL 35〉のチェストストラップとウエストベルトをしっかり留めて、いざ馬ノ背の岩稜帯へ出発!

両サイドがスパッと切れ落ちたハシゴやクサリ場。高揚感の高まりとともに一歩一歩慎重に登ります。

高所に掛かった幅広の大きな鉄ハシゴは、さらに面白みを増していきます。気温が低く、冷たい風が吹く日の鉄ハシゴと違って、素手で感触を確かめながら登ることのできる快適な陽気が嬉しくてたまりません。

急峻な馬ノ背を通過してからは、鋭くてユニークな山容の奇峰をゆっくり堪能しながら観音岩へ向かいます。ラクダの背のような鹿岳とゴツゴツしたピークが連なる四ツ又山、エキスパート向けの縦走が楽しめる妙義山など、ワクワクする絶景が見渡せます。

西上州の山々を360度見渡せる観音岩や見晴台(御嶽神社)。週末ごとに天候不順が続いていた日々から解放され、見上げる青空は最高でした。

たまたま、私も愛用しているカリマーのパンツ〈tapered stretch pants〉を初めて山に履いてきた同行メンバーがいました。「岩やハシゴの多い山やクライミングの時には、ストレッチが効いていて動きやすいし、背面のポケットにファスナーが付いているのが便利!」と大絶賛。何だか私まで嬉しい気持ちになりました。

アスレチックのようなコースはまだまだ続きます。九十九谷分岐まで戻り、滑りそうな斜面を下ると次に現れるのが、この岩壁。九十九谷の岩壁を眺めながら、平らになった足場を頼りにバランスを取りながら進みます。

鷹ノ巣山の絶壁も堪能した後は、集落のある登山口まで、急斜面の下り坂。長閑な集落では、原木栽培中の椎茸のファミリーを見つけました。肉厚で美味しそうな椎茸を帰りに買って帰ろうと心に決めていましたが、残念ながら、夕方には完売でした。

クサリやハシゴが架かったユニークな山容の岩山が多い群馬県南牧村は、長閑な山麓や山歩きだけでなく、旬の地元野菜や特産物を入手する楽しみも魅力のひとつです。

下山後は、帰りに立ち寄ろうと決めていた黒滝不動寺へ。不動明王が鎮座する龍神の滝や木陰の神聖な空気に包まれ、今回も沢山のパワーを頂いてきました。険しい岩壁の合間に建立する古寺は、紫陽花や紅葉の季節も素敵な山岳信仰霊場なので、登山をしない人にもオススメです。

里から山にかけて、サクラ、アカヤシオ、スミレ、ミツバツツジ、スイセン、タンポポ…と、色とりどりの花々が咲き乱れ、緊張感と癒しの時間を同時に満喫できた楽しい日でした。(山行日:3月下旬)