八ヶ岳の最南端に位置する、円錐形の山容が美しい編笠山とゴジラの背中の様な権現岳を周遊してきました。

初日は黄金色のカラマツや山麓の紅葉、背後に現れる景色を楽しみながら、編笠山から青年小屋へ。夏場、アブに追いかけられ登っていた樹林帯も、この時期は静かな山歩きが堪能できました。

編笠山を経て山小屋方面へ下る途中、巨岩が積み重なる斜面前方に現れた権現岳は圧倒的な存在感。明日の天気に期待して、小屋へと向かいます。

テント泊で訪れたことは何度かあったのですが、山小屋に泊まるのは今回が初めて。小雪舞う小屋閉め直前の山小屋は、『遠い飲み屋』を楽しむ人々の賑わいと、快適な暖かさに癒される貴重なひとでした。

薄曇りの前日の空とはうって変わって、今朝は透き通るような空。頬にあたる冷たい空気と柔らかな朝陽に包まれる時間は格別です。

前日に登った編笠山と背後に連なる南アルプスの名峰。西を見渡せば、遠くの御嶽山や穂高連峰も鮮明な大パノラマ。文句なしのお天気と絶景にただただ感動。

のろし場から見上げるギボシ、高度を上げるにつれ現れる阿弥陀岳やキレットの迫力にワクワクします。

核心部は、ギボシの急登と鎖場のトラバース。今回は、登攀向けの真新しいザックを背負っての岩稜体験を楽しみにやってきました。女性の体型でも使いこなせるのか半信半疑でしたが、どんな動きにもフィットする一体感のおかげで、不安は一気に解消されました。

核心部を超えて、ほっと一息。阿弥陀岳と赤岳のキレット、後方に聳える硫黄岳や横岳の雄大な姿を眺めながら、穏やかな時間を思わず独占していました。

何時までも続くような快晴の中、編笠山、西ギボシ、東ギボシ、権現岳、三ツ頭のアップダウンの道中を振り返り、充実感に浸る下山道。

2週間前、雪で真っ白になっていた山々も再び岩肌を取り戻し、晩秋を2度楽しめたようなひとときでした。