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自転車の旅 ザンビア編 vol.1 〜ザンビアの暮らし〜【アンバサダー ロウ 麻友&エリオット】

アフリカ南部の中央に位置する、日本の倍ほどの面積があるザンビア共和国。1964年にイギリス領から独立後、一度も戦争が起こっていないというアフリカのなかでも特に治安の安定した国です。その平和な空気感は、穏やかで親切なザンビア人の様子からよく伝わってきます。

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ロウ 麻友 & エリオット (ろう・まゆ & えりおっと)
自転車旅人 + デザイナー。2009年ロンドンで出会い、結婚後は南アフリカ共和国へ移住。2015年より3年間、南アフリカ〜イギリス〜日本への道のりを自転車でミニマルに旅する。現在は国内外の未開地を探求しながら、サスティナブルな生き方を実践中。
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自転車の旅 ザンビア編 vol.1 〜ザンビアの暮らし〜【アンバサダー ロウ 麻友&エリオット】

アフリカ南部の中央に位置する、日本の倍ほどの面積があるザンビア共和国。1964年にイギリス領から独立後、一度も戦争が起こっていないというアフリカのなかでも特に治安の安定した国です。その平和な空気感は、穏やかで親切なザンビア人の様子からよく伝わってきます。


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ザンビアでまず最初にしたかったこと。それは、ザンビア人の友人家族を訪ねることでした。昔ロンドンのシェアハウスで暮らしていたとき、隣の部屋に住んでいた女性がザンビア人でとても仲良くしており、「ザンビアへ行くならぜひ私の家族の家へ寄っていってね。」と以前から話してくれていたのです。

当時、アフリカ出身の白人が大勢いることを恥ずかしながら知らなかった私にとって、ブロンドヘアと青い目をもつ都会的な友人がザンビアで生まれ育ったということが、どうもしっくり来ていませんでした。しかし今では、何百年も前から行われていた奴隷貿易や植民地支配の歴史によって、いかにアフリカとヨーロッパの結びつきが深いかを理解することができます。


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友人の実家は本当に周りに何もない田舎にあり、家族経営で大規模な農園と酪農を営んでいました。友人のお母さんは、初対面の私たちをあたたかく迎え入れ、庭の奥にあるゲスト用の家を自由に使うようにと鍵を渡してくれました。家族だけで住むには広すぎるほどの豪邸と、溢れんばかりの花が咲き誇る庭…。それまで過酷なナミビアの砂漠を長らく旅していた私たちにとって、まさに楽園。そこは一見すると「快適で豊かな田舎暮らし」そのものに見えました。


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ですが庭でお茶を飲みながらお互いの話をしていると、そんな家族にもある悩みがあるようでした。それは、南部アフリカを襲っている深刻な干ばつによる被害です。「ザンビアの電力供給の9割以上が水力発電に頼っていて、そのほとんどを補うカリバ湖の巨大ダムの水位がついに減ってしまい、半日以上停電が続く日々がもう数ヶ月も続いているんだよ。」とお母さんは話してくれました。

計画停電とはいうものの、いつ停電になるかは予測不可能らしく、夜中に電気が来て日中電気がまったくないこともあるそうです。私たちがそこに滞在している間、電気が通っていた時間は1日にたったの5時間ほどでした。


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私たちの旅で電気が必要なのは携帯の充電くらいですが、工業型農業には十分な電力と大量の水が必要です。また、ザンビアの日中の日差しは焼けるように暑く、ただでさえ乾燥した気候なのにもかかわらず、電力と水がさらに不足してしまえば作物と家畜がどうなってしまうかは容易に想像がつきます。

こういった気候変動による影響をもろに受けている人々や暮らしを目の当たりにするのは心苦しく、自分の普段の暮らしがどれほど恵まれているか気付かされる反面、この問題が決して他人事ではないのだとはっきり自覚もします。


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その後、私たちが泊めてもらっている家から5分ほど歩いたところに、この農園で働く人々の子供達が通う小さな学校があると聞き、エリオットと訪ねてみることにしました。1クラスだけの小さな建物の中には、3才くらいの子供から中学生くらいの子供までが集まっており、初めは突然の訪問者には驚いた様子でしたが、歓迎の挨拶として、子供らしからぬ動きのダンスを私たちのために披露してくれました。


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学校を訪ねたあとは、彼らの家へお邪魔することに。赤土の壁と藁の屋根で作られた家に電気は通っておらず、干ばつの影響で自分たちが食べる分の作物がよく育たないという問題はあっても、停電による影響はほとんどない暮らしをしているようでした。わずか徒歩5分の距離で、これほど相反する2つの暮らしを垣間見ると、色々と考えさせられることがあります。

近代的な生活はどれだけのエネルギーを消費し、本当にその生活が快適で楽なものなのか。必要最低限、必要不可欠なものとはなにか。。それは自転車で旅をしていると、常に感じ考える課題でもあります。私たちが生まれ育った日本やイギリスとは大きくかけ離れた生活をしているアフリカの人々の生活を知り、それを長期にわたって体感することで、その課題の答えに近付くことができるような気がしています。