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自転車の旅 南部アフリカ編 vol.3 〜ザンビアの滝〜【アンバサダー ロウ 麻友&エリオット】

南アフリカ共和国とナミビアを3ヶ月間北上し、カプリビ回廊とチョベ国立公園を一気に東へ横切った私たちは、アフリカ南部のちょうど中央あたりに位置するボツワナとザンビア国境までやって来ました。

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ロウ 麻友 & エリオット (ろう・まゆ & えりおっと)
自転車旅人 + デザイナー。2009年ロンドンで出会い、結婚後は南アフリカ共和国へ移住。2015年より3年間、南アフリカ〜イギリス〜日本への道のりを自転車でミニマルに旅する。現在は国内外の未開地を探求しながら、サスティナブルな生き方を実践中。
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自転車の旅 南部アフリカ編 vol.3 〜ザンビアの滝〜【アンバサダー ロウ 麻友&エリオット】

南アフリカ共和国とナミビアを3ヶ月間北上し、カプリビ回廊とチョベ国立公園を一気に東へ横切った私たちは、アフリカ南部のちょうど中央あたりに位置するボツワナとザンビア国境までやって来ました。


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カズングラという小さな町にあるこの国境はザンベジ川上にあり、そのためボツワナからザンビアへはフェリーで渡る必要があります。フェリーの船体は、車両が乗り込むためのプラットホームがそのまま水上に浮かんでいるようなとても質朴なものなのですが、積載能力は70トンもあるとのことだから驚きです。

乗船中雑談をしていた男性が「今、日本の国際協力機構の出資で、カズングラ橋を建設中なんだよ」と川の先を指差しました。その指の先を見てみると、少し霞んだ空気のなかにうっすらとまだ繋がっていない橋の一部を見つけることができました。

当初の予定では2018年に完成予定のはずが計画の遅延が続き、今年中には国境間の移動を円滑にする923mに及ぶ橋が開通するのだとか。非常にゆっくりではあるものの、アフリカ各地の近代化は着実に進んでいます。


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フェリーが岸に到着すると、そこはザンビアです。そこから何もない直線道路を自転車で60km走り、次の目的地であるリビングストンへ向かいます。この街には、大型スーパーマーケットやファストフード店、プール付きのバックパッカー宿など、しばしの快適を求める旅人が喜ぶものが何でも揃っていました。普段の道中ではなかなか出会うことのないバックパッカーとも、こういったある特定の場所に辿り着くと当たり前のようにすれ違うようになる、そのギャップがいつも不思議です。


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どうしてリビングストンがこれほど観光客で賑わう街なのか。その理由は、街から10kmちょっと南へ行ったところに、世界三大瀑布のひとつであるビクトリアの滝があるからです。ビクトリアの滝は、幅1708mにわたってザンビアとジンバブエの二国間に流れており、最大落差はなんと高層ビル25階建てほどに値する108m。これほど巨大な滝を、私は過去に見たことはありません。あまりにスケールが大きいので、肉眼では滝の大きさの全貌を実感するのが難しいほどです。


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とめどなく落下しつづけるおびただしい量の水のエネルギッシュさはもちろんのこと、滝自体が見えなくなるほど吹き上がる水煙と落下の勢いで発生する強風は予想以上の迫力でした。滝の対岸に作られた歩道は、のんびり歩いていたらびしょ濡れになるような水しぶきのため、思わず駆け足になって渡ります。


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1855年、イギリス人の宣教師であり探検家でもあったデイヴィッド・リビングストンがヨーロッパ人で初めてこの滝を目にし、当時のイギリス女王ビクトリアの名前を冠して「ビクトリアの滝」と名付けました。

しかし、デイヴィッドがビクトリアの滝の最初の発見者であったかというとそうではなく、それまではリビングストン周辺を地元としていたいくつかの民族が、それぞれの通称で滝のことを呼んでいたそうです。そのなかには「雷鳴の轟く水煙」という名称もあり、現地と何の結びつきもない「ビクトリア」よりもぴったりだと感じるのは私だけではないでしょう。


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自然のなかで暮らす原住民の人たちの生活風景の一部だった滝。森を探検していたヨーロッパ人冒険家の目の前に突如として現れた滝。エントランスゲートや遊歩道が造られ、私たち観光客の見世物となった滝。時間が経ち、周囲の状況や風景が大きく移り変わりながらも、滝は依然として流れ続けています。その偉大さにただただ圧倒されながら、かつての様子に思いを馳せました。


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しかし残念ながら、この美しい自然は不変のものではありません。近年、ザンビアを含むアフリカ諸国では非常に深刻な水不足が続いており、それが年々悪化している気候変動の影響であることは否定できない事実です。実際、去年の研究でビクトリアの滝の水量の大幅な減少が記録されており、このままいけば、50年後ビクトリアフォールズの水が枯渇する可能性がゼロではないと言われています。

地球上でも有数規模の滝がこの世からなくなってしまったとき、世界はいったいどうなっているのでしょうか? この決して遠くはない未来について、真剣に向き合わなければいけない時が今ではなければいつなのだろうと改めて感じています。