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どこ行くの? Vol.3 塩川いづみ

自分らしく旅を愉しんでいる女性たちに、こだわりの持ち物を見せてもらおう!という連載。第3回目は、学生の頃から旅好きで、旅で作品制作をすることも多いという、イラストレーターの塩川いづみさん。必ず旅のおともにしているという道具を見せてもらいながら、作品制作をしに行ったという2014年のラトビア旅行の話もうかがいました。
※この記事は、旅と暮らしをつなぐ雑誌『BiRD』で連載中の拡大版です

photo NOZOMI KATO
text BiRD
塩川いづみさん(イラストレーター)


一冊の本から始まった、作品制作の旅

ガーリーだけど甘すぎない、そしてどこかストーリーをまとったように味わいぶかい塩川さんのイラスト。そのヒントを旅から得ることも多いという彼女ですが、最近では、ラトビアに行き、現地で作品をつくってきたといいます。きっかけは一冊の本だったと話します。

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「日傘作家のひがしちかさんが、『リガ案内』という本を持っていて『リガに行きたいの』って。それで、リガ(ラトビアの首都)の話を聞いていたら、ラトビアがどんどん魅力的に思えてきたんです。パソコンを開けばなんでもわかる時代に、ラトビアという国はとくに日本語の情報がほとんどないので、余計に気になってしまって。そこで、イラストレーターの前田ひさえさんも一緒に盛り上がり、どうせ行くなら何か現地で作りたいね、なんて話になりました」
些細な会話がきっかけとなり、決行されたラトビア旅行。それぞれ異なるものづくりをする3人が、同じ旅でどんなふうに制作をしたのかは気になるところ。

「3人でひとつのプロジェクトを行いました。それぞれ真っ白なドレスを着て街を歩き、出会った現地の人びとにドレスに自由にらくがきをしてもらうというものです。後で絵を見ると描いてくれた人やその時のことを思い出す。それが旅日記のように思い、“ダイアリードレス”と呼ぶことにしたんです。旅先では絵を描くことが多いですが、自分自身がその国の柄になって帰ってくる、というアイディアは、とてもロマンチックだなと思ったんです」

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さまざまな人に出会い、経験をし、思い出が溜まっていくのが旅。でも、それらをノートやスケッチブックではなく、自らのドレスに刻んでいくというのは新鮮。そのプロジェクトを通して、とある発見をしたと塩川さんは言います。
「絵を描いてもらうことが、現地の人に話しかける自然なきっかけになるんです。さらに、ドレスに直接描いてもらうので、向こうも面白がって協力してくれる。プロジェクトを通じて、現地の人たちとたくさんのコミュニケーションが生まれました。ラトビアの人ってシャイなんですが、実はとってもやさしい人たち。作品を作っているというと、ほとんどの人が協力してくれました。旅では写真を撮ったり絵を描いたり考えたり、自分のなかで完結させたい気分のときもありますが、現地の人との交流がもつ意味や面白さを、このプロジェクトをやってみて改めて感じました」


旅の持ち物と、旅から持ち帰るもの

どこへ行くにも、筆記用具と紙がないと落ち着かない、という塩川さん。旅では、どんな道具が相棒になるのでしょうか。
「スケッチブックは屋外でも使いやすいように、土台が硬いものを選びます。筆記具場、赤鉛筆、青鉛筆、水彩パレットと筆、それにボールペンでしょうか。そのときの気分で使いわけています。どのタイミングで絵を描くことになるか分からないので、サブバッグにはこれらすべてが入る収容力のあるデイパックを選んでいます。あと、これは別の意味でですが……日本での仕事が手放せないようなときは、イラストのラフ(イメージ画)を送るためのハンディスキャナーも旅先で活躍します(笑)」

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そんな旅の思い出が詰まったスケッチブックが気になるところではありますが……今回は特別に、ラトビアの旅から持ち帰ったものを見せてくれました。これは……ウサギ!?
「はい、地元作家さんの作品を集めたリガのお店で出会った、ウサギのお面です。元来、ラトビアには自然と密着した『ラトビア神道』という信仰が根づいていて、これはその厄払いのお祭りで使われるものです。動物のお面をかぶった村人が、町を練り歩きます。伝統的には、動物の毛や植物の枝葉を使い、それぞれが自分でこしらえるものだそうです」

ラトビアといえば、広大な森林面積を抱く森の国。そんな自然に関連するモチーフは、日常のなかにも溢れていると言います。
「ラトビアの長い冬に欠かせないミトンです。おばあちゃんのサマーワークみたいで、冬に向けて、夏の間に編んでおくんだそうです。公園などでも編んでいるおばあちゃんを見かけましたね。柄はすべて太陽や花やキノコなど自然をモチーフにしたもので、柄ごとに、家族の健康や豊穣を願う意味をもるそうです」

ラトビアでは、キノコやベリー摘みは夏から秋にかけての家庭行事ともいわれているほど。自然に近い暮らしは、今もなお根づいているよう。
「薬草系の薬局が街中に点在しているのが印象的でした。初めて見るようなものまで、本当に多様なハーブがあるみたいです。おいしいハーブもありました。ブラックバルザムという有名な薬草酒があり、ちょっとくせがありますが慣れると美味しくて、大好きになってしまいました」

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旅の体験が取り込まれ、新しい作品の材料になっていく。塩川さんの今後の作品が、また楽しみになりました。


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旅の持ち物

ハンディスキャナー「パットリくん」/wifi接続ができ、いつでもスキャンデータをi-phoneに送れる賢い友。お仕事が手放せない長期の旅にはおすすめ

スケッチブック数冊と3Bあるいは4Bの鉛筆/どこへ行くにも持ち歩き、旅先で感じたことは喫茶店などですぐに描き留めます。スケッチブックにはショップカードやチケットをはさんだり、ときには押し花を作ることも

文庫本/数冊持って行く。機内や移動中に読みます

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今回のおすすめアイテム

route 25

[ ルート 25 ]
メインルームには、17インチのラップトップやタブレットを安心して持ち運べるインナーポケットを内蔵。縦長でコンパクトなルックスながら、上蓋部分や両サイドにもポケットがついて、収納力は抜群。エアメッシュ素材の背面、サイドコンプレッション、ワンドポケットなど豊富な機能を搭載し、普段使いはもちろん、旅行用にもおすすめ。

ポイント

  • ラップトップやタブレットを収納するインナーポケット
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塩川いづみ

イラストレーター。1980年長野生まれ。広告、雑誌、プロダクトなどを中心に活動する。日傘作家ひがしちか、イラストレーター前田ひさえとの共著、ラトビアの旅日記をまとめた『3着の日記ーmemeが旅したRIGA』(土曜社)が発売中。
http://www.shiokawaizumi.com/