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karrimor mountain journal vol.13 槍ヶ岳(前編)

槍ヶ岳(北アルプス) テント泊縦走 with jaguar60+10


お久しぶりのマツです。待ちに待ったこの時が、ついに来たのです…!

昨年、大天井岳へ行った際に出会ってしまった名峰「槍ヶ岳」。その鮮烈な印象で虜となってしまい、もっと近くで見てみたい!あの尖った頂に立ってみたい!と、想い続けて1年…ようやくその時が来たのです。今回は、槍ヶ岳の頂を目指した2泊3日の山行を前・後編にわたってお届けします。

前回の「雲取山」では、氷点下でのテント泊を経験した一方、夏には「八ヶ岳」に行き、岩場や鎖場での感覚を身につけました。もちろんこれだけで十分とは言えませんが、山に行くときは必ず槍ヶ岳のシチュエーションを想定した装備にするなど、この日に向かって着実に準備をしてきたのです。

行程日は10月20日〜22日の3日間。登山口は、いつかは行ってみたいと思っていた北アルプスの玄関口「上高地」からスタート。もっともメジャーなルートとして知られる、「横尾」経由で「槍ヶ岳」を目指すことになります。そして、これも是が非でも行きたいと思っていた「涸沢」。よく雑誌等でも目にする「涸沢カール」に身を置き、穂高の名峰を見上げてみたかったのです…! 「涸沢」へのルートはその時の状況次第で決定することにしました。

山行日数、移動距離、累積高度、どれをとっても自身の記録更新になることは間違いなさそうです。しかも秋と冬の狭間の時期になってしまい、ギア選びはこれまでで一番悩むことに。必要最低限と思いつつも雨(雪)対策、防寒や食事、万が一のエマージェンシーキットなどを考えると荷物は膨らむ一方…。でも槍の山頂直下でテントは張りたいし、なるべく小屋の食事に頼らず全て自前で山歩きがしたい!

取捨選択を繰り返しなんとかパッキング完了!今回の相棒も昨年「大天井岳」に行った際に担いだ〈jaguar 60+10〉をチョイス。パンパンに詰まったリュックを見て思わず「今回も頼むぜ。」と声をかけてしまいました(笑)


01上高地へのアクセスは、バスタ新宿から夜行バスで。ロケーションが非常に良く、重装備を携行しての移動でしたがスムーズにバス乗り場までアクセスできます。上高地以外の山域へも発着しているのでマイカー規制のある場所へのアクセスなどには便利ですね。

 


02

翌早朝上高地バスターミナルに到着。薄暗いうちに到着しましたが、出発の準備をしているうちに明るくなってきました。すっかり紅葉は終わっていると思っていたのですが、間に合ってよかった!

 


03

準備も整い歩き始めると、いきなり雄大な山々が目の前に! さすがは上高地。バスターミナルから直ぐでこの景色を味わえるとは…。日中は観光客で大賑わいなのも納得です。朝一番のバスだったので人も少なく「河童橋」にて暫く足を止め景色を楽しみました。キーンと身を引き締めるような朝の空気に気持ちが昂ります。いざ槍へ!

 


04

出だしは緩やかなアプローチ。アップダウンもゆるやかで、それでいて気持ちの良い自然に囲まれ所々眺めも良く、紅葉した木々を眺めながら軽快に歩を進めます。

 


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朝日に照らされた明神岳。その立派な山容につい足を止めて眺めてしまいます。切り立つ岩の容姿はまさに北アルプス…!

 


06

歩き始めて約2時間で到着したのが「徳沢ロッヂ」。木漏れ日が美しく、小鳥のさえずりも聞こえ、朝のゆるやかな贅沢な時間が流れています。この先にある「徳沢園」にて休憩を挟みました。

 


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休憩で入った「徳沢園」。アンティーク調の店内はとても雰囲気が良く、読書でもしながらいつまでも居たい心地良い空間でした。簡単に誘惑に負け、自家製ハチミツのかかったトーストを頂きました。程よい甘みが空腹だった胃袋に染み渡ります…。

徳沢は宿泊施設として「徳沢ロッジ」「徳沢園」の他に「徳沢キャンプ場」も併設しているので野営も可能。この日もいくつかのテントが見受けられました。山を登らない方達にとっても充実した施設が整っているので、ここまで足を伸ばすのもおすすめです。

 


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「横尾」まではピクニック気分で余力たっぷりで到着。ここが分岐点となっていて休憩している人も多く見られました。看板には「槍ヶ岳11K」の表記が…。これからがいよいよ本番といった感じです。

 


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山らしい道がようやく現れてきました。この日は澄み切った秋晴れで日差しも強かったので、渇きを感じる前にこまめの水分補給を心がけました。
サブバッグは〈VT hip bag B〉。カメラなどのガジェット類や行動食などでそれなりのボリュームになりますが、ショルダーベルトとヒップベルトの2本を組み合わせると、身体にしっかり密着固定できるんです。重みで振られることがないのは、前かがみになるようなシーンでとても助かります。荷物の出し入れがスムーズに行えて、さらにバッグが振られて身体にぶつかるのを防いでくれるので疲労軽減にも繋がりました。


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沢沿いを歩いていると先輩が歩を止め「わさびの葉ですね」と。天然のわさびがこんなところに!これを擦って、醤油を垂らせば、夕飯のおかずが一気にグレードアップ…。などと考えたのですが、ここは国立公園。欲求を抑え鑑賞するに止めて先を急ぎました。沢沿いには至る所にわさびが生えており、それだけ水が綺麗なんだなと実感。


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「槍沢大曲り」を過ぎ、徐々に視界も開け、登りがひたすら続きます。ここまで激しいアップダウンは無かったとはいえ重装備を担ぎ、10km以上を歩いてきた疲労が徐々に現れ始めました。辛抱の登山が続きます。それでも周りの景色は雄大そのもの、過去に経験した景色とスケールが違いました。それがとても新鮮で、登るモチベーションに。

また〈jaguar 60+10〉は今回も安心のフィット感を提供してくれます。背面長を自在に調整できる〈SAシステム〉がいかなる状況でも高いフィット感で疲労軽減に大きな役割を果たします。大型ザックを背負っての縦走山行には手放せません。


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天狗原分岐を過ぎ、高度も3,000m間近。さすがに息が上がるのが早くなりました。明らかに先ほどよりも息を吸うのが辛く感じます。トレーニングを積んだとはいえ2,000mほどの場所。3,000mに近い場所に来たのが昨年の「大天井岳」以来。

高山病の兆候なのか頭も痛くなり、なかなか足が前に出ません。立ち止まってはちょっと登り、直ぐに息が上がり、また休んではちょっと登るの繰り返し…。「槍ヶ岳山荘」は目の前まで来ているのですが、なかなか辿り着けません。


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体力も気力も振り絞りやっとの思いで槍ヶ岳山荘到着! 到着直後はヘロヘロで暫く動けなかったのですが、不思議なもので達成感に満たされ気持ちが楽になり周りを散策する余裕すら出てきました。

 


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「槍ヶ岳山荘」裏には絶景が待ち構えていてくれました!黄昏時の山間に雲海が湧き、幻想的な光景が広がります。ここまで頑張ってきたご褒美と勝手に思ってしまいました(笑)。これがあるから山登りはやめられません…。

雲海でできた地平線の先に、夕陽の光が淡いグラデーションで空を染めています。ここまで約11時間かかった疲労感が「0」になるほどの圧巻の光景でした。


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日も暮れて視界も徐々に悪くなり、気温も下がってきたので急いでテントを設営。強めの風も吹いていたため体感温度も急激に下がり、テント設営作業が捗りません。先輩に手伝ってもらってなんとか設置完了。各々のテントで震えながらの夕飯でした(泣)。食後は雪崩れ込むようにシュラフに潜り込みました。ただ、強風の影響で結局一睡も出来ず、時折押し寄せる強い風音に怯えながら長い夜を耐え、そのまま朝を迎えたのでした…(泣泣)。


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山行2日目。翌朝、といっても「ご来光を槍ヶ岳山頂で見ましょう!」と日の出前に出発。テントから出ると、東の空が明るくなり始め、日の出がすぐそこまで迫っています。急いで準備開始!ただ不眠と昨日から続く激しい頭痛…。でも、目の前には薄明るい中に聳える槍ヶ岳!ここで引き返したら昨日までの頑張りが水の泡になってしまう…気合を入れていよいよピークを目指します!


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テント場に荷物をデポし、ほぼ空身でアタック開始。遠目だと斜度がついて見える槍の穂先も、実際下部に取り付くと体感では垂直に感じるくらい、そそり立っているのでした…。しかもヘッドライトを灯けていないと足の置き場、手の掴み所もよく分からないほどの暗がり…はっきり言って恐怖でした。

ただ刻々と空や岩場が明るくなるのが分かり、気持ちもはやります。取り付いていると槍の先端部分は視界から完全に消え、ペンキで書かれた矢印だけが頼りとなります。途中、谷側を振り返ると槍ヶ岳山荘と昨日散々苦労した急登の道筋が足元にあり、遠くの景色まではっきりと見えます。あまりの絶景に見とれてしまい、谷底に吸い込まれそうになるのですが、恐怖で慌てて手元の岩を強く握ります。大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせ、未だ見えぬ頂上をペンキの矢印に従って再び目指します。

己で掴んだ手元、己で踏んだ足元を100%信用して、じわりじわりと高度を上げていくのでした。果たして、無事山頂まで辿り着けるのでしょうか⁉︎ そして山頂でご来光には間に合うのでしょうか⁉︎ その後「涸沢」は目指せるのか⁉︎ 後編をお楽しみに‼︎
 
 
mountain journal vol.13 槍ヶ岳(後編)はこちら


matu

マツ

性別:♂
好きな山行スタイル:大型リュックサックでのテント泊縦走
趣味:ボルダリング(主にインドア。3〜2級で伸び悩み…)/スノーボード(シーズンに10回以上は行く。滑っていないと仕事が手につかなくなる)/ランニング(最近サボり気味)/旅行(主に国内。主に海が綺麗な場所)
一言:男は黙って大型リュック!