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山とカメラ vol.3 “気になる被写体”を 見つける、撮り続ける

山登りが大好きなみなさんに、もっともっと山を好きになるためにオススメしたいのは「カメラ」。
ファインダーを通すと、いろんなことに敏感になります。
光の美しさや何気ない被写体の魅力に気づいたり……。せっかくならお気に入りの一枚を残したいもの。
雰囲気のいい写真を撮るコツを写真家:野川かさねさんに伺います。

第3回のテーマは「“気になる被写体”を見つける、撮り続ける」。
山で気になる被写体が見つかったら、いろんな場所で見つけるたびに撮り続けてみましょう。
被写体は同じでも、山によって、天気によって、季節によって違う印象の写真が集まり、
「写真を撮りためる」という楽しみができます。
さらに、ひとつの被写体を通して撮り方を工夫したり観察することで写真の上達にもつながります。


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気になる被写体(1)

鹿

屋久島でヤクシカを撮影。
他の山でも野生の動物で一番遭遇する機会が多いのが鹿です。
とぼけた表情やおしりがかわいらしいので、思わず撮ってしまいます。
下の写真のように「姿をきちんと撮る」「森の木々に紛れいている様子を撮る」などバリエーションも楽しんでいます。
鹿を見つけたら、警戒して逃げてしまわないように自分の気配を極力消しながらシャッターチャンスを狙います。シャッターチャンスは多くても2、3回。素早く撮ることを心掛けましょう。(野川かさね)

鹿の姿をきちんと撮る

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撮影ポイント

  • 構図=視線を鹿に集中させるため「縦位置」で撮影。砂利の白、木の緑のお陰で鹿の茶色が引き立った。
  • ピント=鹿に合わせる。気配を消しつつ力強く見つめていると(笑)、鹿が気づいてこちらを向いてくれることがあるので、そのときを狙ってパチリ。
  • 光=曇りの日+被写体の正面から当たる「順光」で、鹿の毛並みもはっきり写る。

 

カメラ/Nikon FM2
レンズ/NIKKOR 50mm F1.4
フィルム/Kodak Gold 160
設定/マニュアル(F値:F4、シャッタースピード:1/250)
被写体までの距離/約30m

森の木々に紛れている様子を撮る

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撮影ポイント

  • 構図=「横位置」にし、森が左右に広がる様子を表現。
  • ピント=鹿に合わせる。
    手前ボケを入れることで、森の奥行き感を強調。   方法:「シャッター半押し」でピントを固定。
    また、「絞り(F値)」が設定できるカメラの場合は
    小さい値(例えばF2.8など)に設定。
  • 光=森の中の木漏れ日。
  • 露出=鹿に合わせて
    手前の木が暗く落ち込んでひっそりとした雰囲気に。

 

カメラ/PLAUBEL makina 67
レンズ/NIKKOR 80mm F2.8
フィルム/Kodak Gold 400
設定/マニュアル(F値:F2.8、シャッタースピード:1/60)
被写体までの距離/約30m


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気になる被写体(2)

道しるべの赤布

山道でコースを示す「赤布」。
コレクションするかのようにいろんな山で見かけては撮っています。
山の中では赤い色がとてもきれいです。
赤布が引き立つよう、背景の色との組み合わせや適度なボケ具合に気を配っています。(野川かさね)

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撮影ポイント

  • 構図=垂れ下がっている赤布を画面にバランス良く収めるため「縦位置」で撮影。
  • ピント=赤布に合わせる。
  • 光=森の中の木漏れ日。

 

カメラ/Nikon FM2
レンズ/NIKKOR 50mm F1.4
フィルム/Kodak Gold 400
設定/マニュアル(F値:F2.8、シャッタースピード:1/60)
被写体までの距離/約1m


なるほどコラム

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コンパクトデジタルカメラから一歩進んで写真を楽しみたくなってきたら、小さくても高性能・高機能の「ミラーレス一眼」がおすすめ。表現や被写体に合わせて撮影モードなどを細かく設定でき、レンズを交換して描写の違いを楽しめます。コンパクトで持ち歩きやすいことからいま女性の間でも大人気! 山での撮影を楽しむときにもちょうどいいサイズです。
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『FUJIFILM X-Pro1』

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『Nikon 1 J1』


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2.撮影コラム

夏におすすめ。
可憐な姿に山登りの疲れも吹き飛ぶ高山植物

栄養が少ない土壌や強風、低温という高山の条件でも花を咲かせる「高山植物」。野川さんは、見かけるといつも携帯しているポケットサイズの植物図鑑で種類を調べるのだそう。「かわいらしい姿を撮影するのはもちろん、土の特徴から周辺環境のことが分かるのも楽しいんです。別の角度から山を知るきっかけになります」。

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八ヶ岳で撮影。

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北アルプスにて撮影。「シコタンハコベ」の札と一緒に。


今回の先生

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野川かさね(のがわ・かさね)

写真家。 ホンマタカシ氏のアシスタントを経て、フリーランスとして活動する。
著書に『山と鹿 DEER MOUNTAIN』(ユトレヒト)『Above Below』(Gottlund Verlag)などがある。
アウトドアユニット「noyama」や、クリエイティブユニット「kvina(クビーナ)」として展示、
書籍の制作やイベントも行っている。

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書籍『山・音・色』

山を愛する野川さん、モデル・KIKIさんによる登山紀行。
行き先は、北八ヶ岳・高見石、雲取山、涸沢、八丈富士、表銀座、大雪山、徳本峠、尾瀬、富士山、北八ヶ岳・黒百合。
著者の二人と一緒に歩いているように、山を感じられる一冊。( 山と溪谷社刊)

http://www.yamakei.co.jp

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書籍『 山と写真 カメラを持って山に出かけよう』

自身の作品を見つめ直しテーマごとに分類された写真の数々、野川さんによる親しみやすい言葉での表現が、
山をより身近なものに感じさせてくれる。綴じ込みミニフォトブック付き。(実業之日本社刊)

http://www.j-n.co.jp

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書籍『山と山小屋 週末に行きたい17軒』

料理自慢、温泉自慢、野生動物に出会える小屋……。
山を愛する二人の女性、野川さんと編集者・小林百合子さんが訪ねた、
魅力的な山小屋の数々とそこに流れる時間を、写真と文章で紹介。(平凡社刊)

http://www.heibonsha.co.jp

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写真集『Things not to do in Colorado River』

グランドキャニオンを流れるコロラド川を下った旅の写真集。25日間、
450マイルの旅の時間を垣間見れる一冊。フランスと日本のtwelvebooksとの共同出版で、
日本での取り扱い店についてはtwelvebooksのTwitterにて随時更新予定。

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ガイドブック『Mi amas TOHOKU 東北が好き kvina×SHOE PRESsの観光案内』

野川さんが参加するクリエイティブユニット「kvina」と宮城県仙台市にある編集プロダクション
「SHOE PRESs(シュープレス)」が東北を紹介するガイドブックを制作。
少しずつ復興している沿岸部の街、ほっこり温かな祭、
変わらずおいしい食べ物などを野川さんの写真などで紹介している。

http://miamastohoku.posterous.com