数年前、スノーボードのシーンをフィルムカメラで撮影している同世代のカメラマンに「ロッククライミングを撮影させてほしい」と言われ、一緒に瑞牆山に行きました。
今も昔も変わらず行われているクライミングを、昔から使われているカメラで写真におさめてもらえるなんて。嬉しくて、今回記事にしようと思いました。撮ってもらった写真を、背景も交えながら紹介していきます。
写真:Kamiyama Hiroshi(@kmym__)

岩場に到着して準備する。当たり前だけど、その日で一番重要な気がします。忘れ物をしてしまえば、その日をただ無駄にすることだってある。実際僕は1時間半登ったところでギアを忘れたことに気づき、駐車場まで戻った経験もあります。

考え方はそれぞれだと思いますが、やっぱりオンサイトトライ(そのルートを初めて登るときのトライ)は譲れないときもあります。そうなったら平等にジャンケン。クライミングの習慣を知らずにこのシーンでシャッターを切った友人のセンスが素晴らしいと思いました。

1クリップをかけるまで。出だしって怖いですよね。1クリップ目が遠いと、結構緊張します。だからこそビレイヤーは自分にとって一番信頼出来る人にお願いします。クライミングをする自己の力も大事ですが、信頼できるビレイヤーがいてこそそのルートを登れる気がします。

このルートの名前は「ブラックリバー」。このエリアに来たのが初めてで、とりあえず有名なモノを、と登ったルートです。短いながらもムーブが繊細で、グレード以上の面白さがありました。

チョークアップ。僕は汗っかきなので、手の甲まで塗る人です。チョークを塗りながら呼吸を整え、登るルート全体をイメージする。僕のルーティンはこんな感じです。これも人によってそれぞれで聞くと面白い。登れるイメージを持っていても、落ちるときは落ちます。

百獣の王。昔、外岩で大会が行われていたときの予選ルートです。今でこそ大会は室内で行うイメージですが、昔は外でも行われていました。その背景やルート名から、ずっと登ってみたいと思っていたルートでした。

個人的に気に入っている写真のひとつ。圧倒的なスケールの岩に、人がへばりついているこのなんとも言えない感じが好きです。あくまでも、自然の中で人間が遊ばせてもらっているんだと僕はいつも思います。

反省。誰が聞いているわけでもないのに1人で「こうして、このあとはこうで、あとは気合だな〜」としゃべってしまいます。落ちた時に原因を考え、ムーブを模索してひとつの解決策を見つけるのがクライミングの面白さでもあります。

JECCルート。僕の友人がクラックを登っている写真です。ボルトに頼らない伝統的な手段で登るのがクラッククライミング、別名トラッドクライミング。トラッドを語れるほど登れていませんが、クライミングの醍醐味はクラックにあると思います。僕はもう少し修行が必要です。

最後にインドラ。写真の部分が核心です。何回も落ちました。毎回機械のように同じ動きができたら楽なんですけどね。出来ないからこそ悔しいし、面白い。最近はボルダリング出来ていませんがまたトライしに行きたいですね。

昔から続く文化のある瞬間を切り取るとき、昔の道具を使うのも、今の道具を使うのも、両方素敵だと思います。そんな背景も含めて1枚の写真はさまざまなメッセージを持っていて、それを考えながら見ると本当に面白いです。
クライミングの楽しみ方も人それぞれで面白いですね。時間があったからこそ気づけたことだと思います。