北海道・小樽を拠点に活動している国際山岳ガイドの今井です。今回は、これまでに私が出会った北海道の絶景を厳選してご紹介します。ローカルらしく、私自身が見て、触れて、感動した景色を、ピックアップしてみました。

【小樽赤岩クライミングエリア】
北海道を代表するクライミングエリア。真っ青な日本海をバックに眺めながら登るクライミングが楽しめます。シーズンは、5月初旬~10月中旬。アルパインから、フリーのルート、ボルダーの課題までいろいろとあります。自分の思いに合わせてルートを選べばトレーニングにもなるし、充実した一日を過ごせます。
写真は、2018年にパタゴニア遠征に行く前にパートナーと息を合わせるために登った、窓岩リッジと赤岩ブルーの海。

【利尻山】
「北海道で一番好きな山のひとつは?」って聞かれたら、やっぱり利尻山を挙げます。
初めて登ったのは、約30年前。その時は、小樽から利尻島に直行のフェリーで上陸しました。初めて海から利尻山を見たときのかっこよさ……。今でも毎年通っています。
グリーンシーズンは、固有種の多い高山植物を眺めながらの日帰りトレッキング。山頂からの展望は抜群で、遠くサハリンまで見えることも珍しくありません。写真は、利尻山の影が雲に映る幻想的な2019 年の夏の早朝のもの。

近年は山スキーでも世界に名を知られる存在になりました。「Hokkaido’s Patagonia」なんて言われるほど風が強い日もあったりして、自然のすさまじさを体感することができます。もちろん、それ以上のパウダースノーや大斜面、そしてクライミングが楽しめるので大人気です。

【雪】
雪が作り出す景色は、北海道を代表する絶景のひとつです。冬の嵐が過ぎ去ったあとの森、風や地形によって作り上げられた自然美、同じ場所でも日によって違う景色。毎回見れる景色ではないけれど……。心にしみる絶景ですね。



上の連続写真は、この瞬間まで、ひたすらホワイトアウトしている中をラッセルして、ハードなクライミングをしているときでした。3分ほどの間、真っ白な山頂が現れる瞬間を共有することができました。こういうことが山ではたまにあって、自然に涙出てくるほど嬉しかったですね。

【北海道大学のイチョウ並木】
山から離れて番外編。ここは、札幌の観光名所の鉄板ですね。新緑の時期もいいのですが、2019 年の秋、イチョウ並木の黄葉が数十年に一度という美しさ。こういう人生に数度しかないチャンスに巡り合えたのは幸運でした。買い物に付き合っただけのはずが、自分にとっても大きなプレゼントになった一日だったなぁ……心に残る絶景には、いつも人がいて、ストーリーがあって、タイミングが重要な要素になるのかもしれませんね。

まだまだ制限もあるし油断はできませんが、山や岩に行けるようになりました。皆さんと同じで心底嬉しいです。徐々に山岳ガイドの活動も再開していくつもりです。
今回紹介させていただいた絶景の中には、ドラマがあって主人公がいます。そんな自分たちだけのドラマチックな絶景を、主人公となるお客様と一緒に見られる日々が迎えられたことにわくわくしています。最後にイタリア側から見たヨーロッパ最高峰モンブランの写真を。