Karrimor × Coyote vol.06

vol.06

旅に暮らし、暮らしを旅するをコンセプトに、
その先の旅を続けてきた雑誌Coyote。
日々の暮らしから過酷な冒険まで、
あらゆるシーンに寄り添ってきたkarrimor。
日常からの冒険譚をつなぐ。
karrimorのアイテムとともに、
旅人がより憧れる辺境への物語を紹介します。

photography:ただ
text:Coyote

Karrimor × Coyote vol.06

vol.06

旅に暮らし、暮らしを旅するをコンセプトに、その先の旅を続けてきた雑誌Coyote。日々の暮らしから過酷な冒険まで、あらゆるシーンに寄り添ってきたkarrimor。日常からの冒険譚をつなぐ。karrimorのアイテムとともに、旅人がより憧れる辺境への物語を紹介します。

photography:ただ
text:Coyote

トゥインクリーな海

カナダの東端の島、ニューファンドランド。ここは「新たに見出された大地」という名にふさわしい雄大な景色が広がっている。初夏にはグリーンランドから海流に乗って巨大な氷山が沿岸に流れ着き、大西洋のクジラが豊富な餌を求めて集まる。島の西側にある世界遺産グロスモーン国立公園には、氷河が長い時間をかけて作り出したフィヨルドの湖やマントルで形成された赤褐色の山、太古の地層がむき出しになった海岸線などのここでしか見られない特殊な地形が広がり、壮大な地球の物語を実際に見ることができる。

グロスモーン国立公園を1週間かけて旅した後にやってきたのは、国立公園から南に位置するコーナーブルックという町。案内役を買って出てくれたロブ・トーマスとジョーダン・フューアが出迎えてくれた。歳は30代後半から40代前半くらいの陽気な二人組だった。「さて、どこへ行きたい?」とロブが地図を広げる。前日まで国立公園の山を歩いてきたので、今度は海を楽しめるトレイルをリクエストしてみた。「オススメのトレイルはあるけど少しハードな道だよ。大丈夫?」そう言って心配そうにこちらを見たので、旅の荷物を詰め込んだultitmate 60のバックパックを見せると、納得したように笑みを浮かべて頷いた。

海沿いの道を車で1時間ほど走ると、やがて小さな港に到着した。岬を周遊する崖沿いのトレイルを歩くようだ。ultimate60の中から丸めて収納していたultimate35を取り出し、背面パッドをultimate60から移し変える。最低限の荷物だけ詰め込むと、軽さと強度を兼ね備えたアタックザックの完成だ。

道は狭く、すぐに急な登りとなった。ジョーダンは拾った枝を杖にして、鼻歌を歌いながらすいすいと斜面を登っていく。後ろを振り返ると、ロブは息を切らしながら必死で後をついてきていた。こちらと目が合うと、親指を立てて強がって笑ってみせるのがおかしかった。ようやく急勾配の斜面を登りきると、ハイマツが広がるなだらかな稜線に出た。黒くゴツゴツとした海岸線はマグマが冷えて固まったものだそうだ。眼下にはコバルトブルーの海が広がる。雲間から光が射して、水面に雲の影を映してまだら模様に輝いていた。

「トゥインクリーな海だね」

ジョーダンはそう言うと、こちらを見て微笑んだ。 しばらく稜線を歩き、来た道とは別の道をロープを使って慎重に降りると、小さな入江に到着した。流木をベンチにしてここでランチをとることにする。ロブとジョーダンがリュックからロブスターのサラダ、ニンジンとセロリのスティック、チーズを取り出すと、3人の真ん中に並べてペプシで乾杯をする。遠くにある民家から、ホームパーティでもやっているのかかすかに陽気な音楽が聴こえてきた。

「これで音楽があれば文句なしだね」
ロブがそう言ったので、バッグの中から携帯スピーカーを取り出してロブに渡す。「準備が良いね!」と喜ぶロブに選曲をお願いすると、スピーカーから流れてきたのはこの島独特の音楽だった。ケルトミュージックとカントリーミュージックがブレンドされたような、軽快なリズムが響きわたる。ロブとジョーダンは立ち上がって音に合わせて足でステップを刻み、片足で飛び跳ねて笑いながらその場を回り始めた。

食べ終わると、海岸線を散歩することにした。すると二人は歩きながら落ちているビニールやプラスチックゴミを当然のように拾い始めた。アウトドアが好きだったジョーダンは、ここの自然に魅せられて5年前に移住してきたのだそうだ。自然を愛するとはこういうことだと、二人を見ていてふと考えた。

「明日は何している? 一緒にシーカヤックをやらないか?」

ジョーダンからの誘いに迷うことなく頷く。彼らともっと一緒に過ごしたいと思った。ロブが突然海の方を指差した。指差した方角を見ると、すぐ近くでクジラの潮吹きが上がった。 旅の終わりに、またここにおいでと言われたような気がした。

用途を選ばず幅広いシーンで使える
軽くて丈夫な携帯性にもすぐれたバッグ

ultimate 35

28,000yen+Tax

テクニカルなアルパインクライミングを視野に入れたモデルだが、通常のハイキングなどでの使い勝手も良い。軽量かつ高強度のラミネートファブリック採用で、耐久性が高く、軽い。背面システムの一部を取り外せば、丸めて収納できるので、uitimate 60の内部に入れて、アタックザックとしても使える。

閲覧履歴