karrimor for Steven Alan FLEECE JACKET

karrimor for Steven Alan
FLEECE JACKET

スティーブン アランとカリマー。そのコラボレーションの第二弾は、
90年代から00年代にかけてカリマーで展開していたフリースジャケット、
「タイフーンウインドフリース」がモチーフ。
アーカイブを徹底的に洗い出し、魅力を掘り下げ、今の気分に落とし込んだ本作は、
今や定番的な“フリースジャケット”とは全く違う価値を持ちます。
後にも先にもない特別な名作が、またひとつ完成しました。

  • photo : naoto kobayashi
  • direction & styling : ryota yamada
  • composition & text : jun namekata
  • model : mahne (ACTIVA models)

PRODUCTION STORY

ファッション性とプロダクトとしてのクオリティ。このフリースジャケットは、そのどちらも一切妥協せずに作り上げられました。『デザインと機能の融合』。その命題に対する新たな回答を、スティーブン アラン ブランドディレクターの伊東正彦氏とカリマー ディレクターの稲田里樹が解説。

「脇下のジップと
ウエストシェイプ」

  • 伊東
  • 春にリリースしたコラボマウンテンパーカ同様、カリマーのアーカイブアイテムをもとにデザインした今回のコラボアイテム。特別その年代を意識しているつもりはないのですが、やはり90年〜00年代が今の僕には引っかかりました。

  • 今回伊東さんがピックアップされたのは、2000年前後に展開されていたUKモデルの「タイフーンウインドフリース」ですね。

  • 稲田
  • 伊東
  • もともと秋冬はフリースをやりたいと思っていたので、運命的な出会いではありました。特徴的なのはやはり“脇下のピットジップ”と“ウエストのドローコード”ですね。素材が通気性が高い分、前身頃には裏地をつけて風を通さないように工夫。そうすると今度は衣服内が籠るので、それを解消する脇下のベンチレーションは不可欠でした。

  • ウエストのドローコードはシェイプに変化がつけられるというファッション的な視点もありますが、冷気をストップできるという機能もある。デザインとスペックを兼ねたデザインと言えると思います。

  • 稲田

「生地の質感」

  • 伊東
  • 今回は、フリースは裏づかいにしているのも注目してほしいポイント。起毛している方を表にすることで表情をつけたかったんです。

  • 一般的には起毛していない方が表にくるのですが、あえて逆にすることで他とは違う表情が生まれている。ファッション的な要素が引き立っていると思います。

  • 稲田
  • 伊東
  • これによって雰囲気が生まれて、1枚でアウターとして着ても様になるようになっているんですね。これは僕の中では重要なポイントでした。単純に僕が着たいって思える感じになった。そして今回も前回同様、オールドアウトドアな1973年のロゴワッペンを採用しているのもポイントです。

「ラグランスリーブ」

  • 伊東
  • 肩のカッティングもかなりこだわりました。インスピレーションソースとなった「タイフーンウインドフリース」も袖がラグランスリーブなのですが、通常のそれとは違ってカーブする独特なラグランスリーブになっている。これはぜひ再現したかったところですね。

  • ここは幾度となくデザインの修正をしましたよね。ルックスとして格好いいのはもちろん、立体的なフォルムは着心地にも影響する重要なポイントですから。

  • 稲田
  • 伊東
  • 肩だけでなく、脇下のパターンも立体的に仕上げているんですよね。

  • はい。生地を複雑に切り替えて立体的にすることで、可動域を広げて動きやすさを与えています。デザイン的にもスペック的にもここは重要なディテールだと思います。

  • 稲田

「ネックのドローコードと
襟のナイロン切り替え」

  • 伊東
  • 襟をナイロンの切り替えデザインにしたのは、ミリタリーウエアにインスピレーションを得たものです。これは僕の中で結構大事なディテール。これがないとのっぺりとした印象になってしまうんです。

  • ネックの縁にドローコードが付いているのもこのフリースジャケットの特徴ですよね。襟が高いフリースジャケットにはこのディテールはよく見られたのですが、低いスタンドカラーでこれが付いているというのはなかなか見ない。

  • 稲田
  • 伊東
  • サイクリング系のジャケットには多く見られるディテールですよね。衣服内への風の侵入を防ぐという意味ではとても大事な役割を果たします。

  • 最近のフリースジャケットは基本的にジャストフィットで、そもそも風が侵入しにくい。なので、省略されつつあるのかもしれません。

  • 稲田
  • 伊東
  • 首回りがぴったりしていればそれは不要ですからね。でもこのフリースジャケットに関しては必要なディテールだったと思っています。機能的にも、デザイン的にも。

「フォルム」

  • 伊東
  • 基本的にはミッドレイヤーという位置付けでデザインをスタートさせています。つまりインナーづかいです。だけどあえて少し大きめにいなたい感じに仕上げている。

  • シルエットバランスは本当に何度も吟味しましたね。

  • 稲田
  • 伊東
  • 苦労しましたね。肩周りはちょっと大振りでクラシックさを意識しているのですが、ウエストは無駄をそぎ落とすことで今っぽさとのバランスもとっている。そのさじ加減は細かく吟味しました。

  • 今時のフリースジャケットというのは基本的にジャストフィット。余分な空間を作らないシルエットが多いんです。そんな中、このフリースジャケットは空間を残すフォルムにしていますが、その分、ウエストや裾、さらにはネックにもドローコードをあしらって保温性を担保している。それでいて脇下にベンチレーションをあしらい、前身頃には裏地をつけている。スペックとしてもかなり高いものだと思います。

  • 稲田
  • 伊東
  • ウエストと裾、両方にあしらったドローコードは、絞り方の組み合わせ次第でいろんな表情が楽しめる。そこも僕としては重要なポイントです。インナーとしてはもちろんだし、アウターとしても優秀。この完成度はぜひ実物で確かめてみてほしいです。

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