フィールドレポート後編は、キャンプサイトから核心となるフレンチリッジハットを目指す行程に迫る。ゆるやかなハイキングから高度感のあるスリリングな岩稜帯へと進んでいく。

夜明けとともに出発。気温が川の水温よりも下がることで、幻想的な靄が発生していた。渓谷を進み、それから約1,100mを直登、氷河を抱くピークを目指す。まさにこの旅の核心ともいえる行程だ。

モルゲンロートに染まる頂。夏とはいえ、気温はマイナス。足元には霜が降りていた。目指す目的地は、森林限界を越えた先にあるアルパインクライマーの基地となる山小屋・フレンチリッジハット。

フリースを着込み、シェルジャケットで冷気をブロックする。太陽があたりを照らすと気温は一気に上昇し、温度差の広さに驚かされる。

アプローチを終え、ピークへと向かう前にエネルギーを補給。はやく登っていきたい衝動を抑えつつ、待ち受ける急登へと気持ちを切り替えていく。

森の奥深くへと進んでいくと、吊り橋が待ち受けていた。ギシギシときしむ音、一定の周期で揺れる感覚、眼下に流れる激流、まるでアトラクションのようだ。ニュージーランド南島の森は降雨林と呼ばれている。亜寒帯でありながらも雨が多いため、豊かな森林が広がっている。

樹林帯を登ること3時間、ようやく景色が開けた。ついさっきまで歩いてきた平野、そしてテント場も見える。斜度の高いトラックを越えてきたがゆえの高度感を味わえる。ここからさらに岩場を登っていく。

〈cougar〉は、背面システムを調整することで急登にも対応できる。サイズアジャストシステムを引き、重心を上げることで安定感を高めることができるのだ。アルパイン、スクランブリングなシーンも想定した設計が施されている。

360度のパノラマを望む。吹き抜けていく体をクールダウンしてくれる。朝の寒さを忘れてしまうほど、穏やかで壮大な風景が待っていた。

眩しく輝く氷河を抱く峰々を目指して歩いていく。森林限界の先には、まったく異なる世界が広がっていた。まるで絵葉書のようなランドスケープに思わず立ち尽くしてしまう。

氷河を眼前に立ち尽くす。バックパッキングだからこそたどり着くことのできた風景だ。ニュージーランドをはじめとして、世界中には登山やアウトドアを楽しめるフィールドが無数にある。もちろん日本の山も登り尽くせないほどたくさんあるが、“海外遠征”が身近になった今、新たな世界に踏み出してみるのもいいだろう。〈cougar〉は行動範囲を拡張し、自らの好奇心を行動に変えてくれるツールなのだ。