皆さん、異形断面糸って言葉を聞いたことがありますか?
登山ウエアの繊維としてその歴史は古く、私が登山を始めた時にはある繊維の全盛期でした。
その時に教わったのが、繊維を切った断面がUFOの様な形になっていて、丸い形状と比べ表面積が増え、その溝部分に吸汗作用を持たせて肌から水分を吸い上げるというものでした。
次はOcta®の断面を見てみましょう
図2 断面図(帝人)
繊維の中央が空洞で、そこから放射線状に8本の突起が伸びています。 UFO断面で水を吸い上げるよりも遥かに表面積が大きくなり、毛細管現象にてスリットへ水分が流れていくイメージが容易に浮かびますよね。 更に同じ太さの丸の繊維より中空とスリット部分がない分、重量が約2分の1程度と軽量性も高くなり、荷物制限のある環境ではもってこいなんです。
Octa®の特徴のもう一つが、中空部分とスリットのある細い繊維を束ねて1本にすることで(下記写真)間に空間が生まれ、 更にそれを嵩高い織物構造にして、空気の層(デットエアー)を多く作り、 高い保温性と遮熱性を確保しています。デットエアーは構造が複雑になるにつれ、温まった空気が逃げにくくなり、その効果は更に高くなります。
ここまで複雑な形状と構造になっているテキスタイルは珍しく、この素材の特異性を物語っております。
ここまでの紹介を読むと、ミドルレイヤーとして暑そうな感じを受ける方もいらっしゃるかもしれません。 ですがOcta®の良さは吸汗速乾と保温だけではなく、生地の通気性が非常に良い事なのです。 通気性が良い事でミドルレイヤーとして単体での着用では適度な保温性を保ったまま、行動中のオーバーヒートを抑え、休憩中や寒い時には風を防ぐものを上に羽織ることで通気が遮断されて驚くほど暖かくなります。 Octa®は着用者ご自身の意のままに快適な状態が作り出せるのです。
ここからは、その繊維を使ったthermalシリーズ(Octa®)とmountainシリーズ(CPCP®)について比較して更に良さを深堀してみましょう。 下の画像を見ていただくと、左右でテキスタイル(生地)の織り方と目の細かさ、裏面の構造と毛足の長さが大きく違っていて、 これにより使い分けの幅が広がって様々なシーンで活躍してくれることとなります。
thermal(Octa®)表生地画像
mountain(CPCP®)表生地画像
thermal(Octa®)裏生地画像
mountain(CPCP®)裏生地画像
下記のチャートをご覧ください。
thermalシリーズ(Octa®)はあらゆる面で優れており、秋冬シーズンのアクティビティーに最適な製品です。
seriesのラインナップもクルー、ハーフジップ、フルジップフーディと充実しており、サイズ感は動くことと素材性能を最大限に発揮するレギュラーフィットより若干ですがタイトとなっております。
mountainシリーズ(CPCP®)は表がニットメッシュ、裏が起毛となっており、網目の粗さからからくる更なる通気性の良さが、軽量性とコンパクト性とあいまって山登りやハイキングのみならず、旅行ウエアとしても最適です。 こちらはフルジップジャケットとクルーの2種類があり、合わせるベースレイヤーとの愛称で脱ぎやすいフルジップ、行動着に使いやすいクルーといった選び方もお勧めです。