ultimate project

開発チーム

社内の開発チームにとってもこの〈ultimate project〉は大きな挑戦だった。マーケットにある既存の製品ではなく、カリマーが独自に提案する新しいライン。これまでのノウハウを大切にクライマーの要望を最優先に具現化していくプロセスの深部に迫ります。

クライマーと共同で
開発すること

〈ultimate project〉の第1弾となる19AWでの発表に向けて、冬期のアルパインクライミング、アイスクライミングをターゲットに設定しました。それはつまり、現在ラインナップしている登山やハイキングをメインとする〈explorer〉カテゴリー、ライフスタイルやトラベルの〈life〉カテゴリーとはまったく異なる、さらに専門性が高い領域を対象とした製品開発を行うということでした。

カリマーの原点である「クライマーの要望に応え、製品をつくる(※1)」というプロセスに立ち返り、さらに、アルピニズムの源流でもあるヨーロッパのアルパインクライミングの哲学を基礎に、カリマーとしての挑戦がはじまりました。まずは開発に協力していただくクライマーチームとミーティングを重ねました。

アウトドアを楽しむ人口のなかでも、〈ultimate〉シリーズが対象とするような高度な技術を持ったクライマーはほんの一握り。開発チームにはない知識や経験談を聞き取り、理解していくことからはじまりました。そして、クライマーを中心に、素材担当、デザイナー、工場の縫製担当それぞれが目的に向かって独自の解釈を試作品へと落とし込んでいきました。

フィールドテストと
フィードバック

そしてフィールドテストです。机上で議論しているだけでは製品はつくれません。一見完成したように見える試作品であっても、実際に使ってみないことには本当の実用性はわかりません。それも様々なシチュエーションで着用し、酷使する必要があります。パターン設計は狙った動きができているのか、必要な耐寒性があるのか、生地の着用感はどうか、耐久性、長時間の使用で変化はあるのか…など、テスト項目は無数にあります。

フィールドテストを重ねていくと細部の修正や調整が増えてきます。機能やデザインをブラッシュアップしていく作業です。ほんの数ミリ調整するだけで使用感が格段と向上します。もちろん不採用となったアイデアも数多くありました。どんなに思い入れのある機能でも、実用してみて不要なのであれば削るべきです。カタログ上のスペックは華やかでも、実際に使うのはユーザーであり、そのよさを体感するのはフィールドという場なのです。

〈ultimate project〉は、クライマーはもちろん、メーカーとしての理想を具現化する新しい取り組みです。ユーザーにとって、これまでの製品ではできなかったこと、不具合を抱えながらも耐えていたことを少しでも解消し、より安全で快適にフィールドへと挑むきっかけになればと思っています。

ヒマラヤ山域などの8000m峰での登山は極地法と呼ばれるスタイルを採用することがほとんど。ベースキャンプを設け、山頂に向けて前進キャンプを設営していくため、登頂するクライマー以外にも多くの人員や大量の物資が必要となる。

※1サイクルバッグメーカーとして創業したカリマーにとって、クライマーの要望に応える形でアルパイン向けのリュックサックを製造しはじめたのはブランドの原点。とくに70年代は著名クライマーがこぞって開発に参加し、登攀に使用しました。

ピットジップ:ハードシェルジャケットの脇の下に設けられる通気用のベンチレーション。一般的には脇の上下にまたがるように縦位置で配置されていることが多いのですが、片手でジッパーを締めることが困難なため、頻繁に開閉できないというデメリットがあります。

カタログ上のスペックは
華やかでも、
実際に使うのはユーザーであり、
そのよさを体感するのは
フィールドという場なのです。

開発チーム

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