ヨセミテでのビッグウォールクライミング。フィールドテストは、毎日のようにいくつものルートに挑み、さまざまなシーンで実用性を試した。ルートは日々コンディションを見極め決定。前シーズンは積雪が多かったということもあり、残雪量や気候や気温も考慮し、登攀できるルートを判断する必要があったからだ。なかには350mにも及ぶルート、終わりなきクラックが待ち受ける難易度の高い課題もあった。
日中はかなり暑さに悩まされました(成田)。
ヨセミテでは、毎日いろんなルートを登っていました。基本的にフリークライミングを中心に登ることのできるルートを選んでいたのですが、日中はかなり暑さに悩まされました。本来はハーフドームに登りたかったのですが、取り付きの残雪がすごく、別のルートを検討しました。
ヨセミテではそれほど大きなルートではないと言ってもクラックが延々とつづくルートでは体力を消耗しますし、トップアップするだけでも大変です(成田)。
今回作ったバックパック含め製品をテストするには最適な場所でした(稲田)。
どこを登っても露出感があって、すごい眺めでした。振り返ればハーフドームということも。とにかく、ずっと登っていられる喜びに尽きます。かなり上の方のピッチで、気持ちの良いハンドクラックがひたすらつづいているところがあるのですが、それはもう最高。クラックがずっと空まで伸びていて、足元には何もないという環境でひたすら登るという贅沢な時間でした。
テクニック的には、フリーの場所も、エイドも場所も、味があっていい。壁も気持ちいいところを貫いていて爽快感がありました。ルートとしては、傾斜が緩くなく、ずっと少しかぶっている垂壁。そういう意味では、今回作ったバックパック含め製品をテストするには最適な場所でした。
ビレイポイントも、しっかりした棚のあるところは少なく、ハンギングビレイで、すべてのことをこなさなければならないというシーンもありました。そのため、〈ultimate 22〉のようにカラビナにかけて使えるリュックサックはありがたかったですね(稲田)。
どんな岩場でのクライミングにも対応できる自信につながる(船山)。
ビックウォールはとにかく長い。テクニカルなクライミングをずっとつづけていかなければならないので、スピードや効率性だけでなく、ロープワークやエイドクライミングなど、日本よりもハイレベルな技術が必要です。
そういう意味で、ここで製品をテストできたということは、どんな岩場でのクライミングにも対応できます。そういう自信につながることだと思います(船山)。
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