日本が誇る沢文化の楽しさ再発見〜沢登りでも大活躍の〈ultimate〉〜【アンバサダー 稲田千秋】

渓流を遡り、山の頂を目指す「沢登り」という登山スタイルがあります。岩、土、草木、雪渓、さらには水と、ありとあらゆる自然物を攻略して登っていくこの遊びは、日本発祥です。自由で創造的な沢登りは、登る人の数だけラインがあり、楽しみ方があります。

沢登りは欧米でもそのまま「Sawanobori」として知られています。うだるような夏の日には清流に飛び込むのが一番!

登攀要素の強い沢、泳ぎがメインになる沢など、さまざまなタイプの沢があります。

今年の沢シーズンは、泊まりの沢山行で主に〈ultimate 35〉を、日帰りの沢山行で主に〈ultimate 22〉を使用してみました。

どんなタイプの沢でも基本的に水に濡れるので、リュックサックの中身は完全防水にします。泊まりの沢なら防水にはより気を使います。そして、難しい沢になってくると、いったん荷物をおろして突破し、あとから荷物を引くという場面も多々あります。荷物はたいてい水にどっぷり浸かります。

ultimate 35〉は容量が大きいので、ロープやギアなどの沢装備のほか、幕営道具や2泊分の食料と酒もすっぽり収まってしまいます。丈夫なので荷揚げにも十分耐えます。

これは本来の機能ではないのですが、アックスホルダーのストラップが通っている背面の穴が、ちょうどよい水抜き穴になるのです(笑)。沢登りでは、リュックサックの中に水がたまって重くなるのを防ぐため、沢用でないリュックサックには自分で水抜き穴を開けることがあるのですが、〈ultimate 35〉は思いがけずその必要がなく、快適でした。

沢登りでは滝の登攀などで登攀ギアを多数使います。〈ultimate〉シリーズのリュックサックは登攀に便利なよう、ギアラックがついていたり、クライミングの動きを妨げない作りになっていたりするので、沢でも岩登り同様に活躍しました。

沢登りは、小さな冒険です。水の流れが創り出した自然の彫刻を満喫しながら登って行きます。ときには、美しい川にぷかぷか浮いてみたり。

「ゴルジュ」と呼ばれる、両岸が切り立って沢幅が狭くなった地形を泳ぎやクライミングで突破したり。

大滝を登ったり。

飛び込みで遊んだり(笑)。

いつ崩れるとも分からない、恐ろしい雪渓のトンネルをくぐったり。

特に泊まりの沢はみんなでわいわい、とても楽しいです。絶景のテント場を目指して遡行し、タープを張って、薪を集めて焚き火をします。

木の枝を削って串を自作し、釣ったイワナや運んできたソーセージ、チーズなどを焼いて食べます。ビーフジャーキーやカルパスなど、普段はそのまま食べるおつまみも、焚き火で炙るととってもジューシー、美味しくなります。

焼きマシュマロも定番の焚き火メニュー。テント場では完全防水して持ってきた乾いた服に着替えますが、今シーズンはウィンドシェルの〈vapour hoodie〉をテント場用防寒具として持って行きました。110gと軽量でコンパクトなので、なるべく荷物を減らしたい山行で活躍しました。

6月頃から沢へ行きはじめ、シーズン最後は10月にも行きました。流石にこの時期になってくると気温が低く、少しでも濡れるとガタガタ震えがくるような、寒〜い遡行になります。

軽量ながら、高い防水・耐風性をそなえた〈zenith jkt〉は、ウェットスーツ上下という完全防寒装備のさらに上に着用して、高い保温性を発揮しました。これがなかったら、寒すぎて敗退していたかも……(笑)。

日本が誇る、沢登りという登山のスタイルは、自然と共生してきた日本人が生み出した素晴らしい文化だと改めて実感しました。皆さんも暑い季節には是非、美しい渓流を遡ってみてください。

稲田 千秋

稲田 千秋(いなだ・ちあき)形成外科医、クライマー。学生時代から登山、クライミングに熱中し、季節やジャンルを問わず様々なスタイルでフィールドアクティビティに興じる。現在はフリーランスで世界中を旅しながらクライミングを楽しむ傍ら、国際認定山岳医として、日本の山岳医療発展のため活動する。2016年 Yosemite国立公園 El Capitan "The Nose"完登。2019年 ペルーアンデス Alpamayo "French Direct"登攀など。

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